通信制高校と多様なメディア

2018/09/13

 通信制高等学校は基本的に「通学しなくて良い」と思われているが、実はそんなことは無い。

 各科目ごとに、面接指導時間というものが定められている。
 こいつは結構長くて、科目ごとに基準が違っていて同じ1単位に必要な指導時間でも、理科や体育はやたらと長いが、国語は短いなんていう特徴があったりする。

 これを真面目に満たそうとすると・・・おそらく年20日で終日みっちりのスクーリングが必要になる。スクーリングを宿泊型でやる広域通信制の場合、20泊21日である。

 

 これではよろしくない。

 そこで・・・登場するのが「レポート」である。
 これは、ある種のドリル的なもので、これをやると面接指導時間のうち2/10が免除される。

 次に、重要なのが「多様なメディアを用いた授業」である。
 こいつがクセもので、早い話が、いまどきわざわざ対面じゃなくても、授業を受ける方法はいくらでもあるんだから、対面以外の方法(つまりメディア授業)によって、この指導時間のうち6/10までを消化して良いよ!というものである。

 つまり、1単位100分必要な授業が仮にあったとして、設定単位数が2単位であれば・・・200分のうち、40分はレポートによって免除され、120分はメディア授業で消化して良い。残りの40分について、スクーリングでの授業で消化せよという事である。

 

 さて、この多様なメディアというのがクセものである。さっきも、クセものっていったが・・・。

 ここからはお役所的な「文意の解釈」の問題である。

 「多様なメディア」という単語。まず多様を想像してほしい。どういう意味だろうか。

 

 正解は「2つ以上」である。
 これは「世の中に多様に存在するメディアを使って」という意味ではなく「世の中にあるメディア授業を多様に活用して」という意味である。

 つまり1種類ではダメなのである。2種類だ。

 ちなみに、多様のうち1種類目、インターネットを使った授業。これについては「東京書籍」が教科書解説動画を通信制高校向けに作成して、ポータルサイトも作ってアカウント課金で販売するという形式をとっている。

 これによって東京書籍は、通信制高校の教科書シェアを総なめにしている
 以前は、高校で独自に動画を作ったVODを配信しているところも多かったのだが・・・文科省のお役人から「これってレポートの解説をしてるだけですよね」とか「体系的な教科書の解説になってないですよね」みたいなチクチク攻撃をされて、ほぼ絶滅状態である。

 一方、東京書籍の動画は、教科書を1ページずつ1ページあたり5分程度で解説していくという、文科省に絶対文句言われないですよ的な狂気じみた執念を感じる作りになっているので、信頼度が高い。

 

 さて、東京書籍で1種類目はOKである。では次のメディア。

 ここで大きな問題がある。
 「多様なメディア」というのは「パブリッシャを指す訳ではない」つまり、東京書籍が作った動画と、自前のVOD配信で2種類達成!とは・・・いかないのである。

 どういうことか・・・。

 つまり東京書籍の動画というのは「インターネット」というメディアを活用した授業である。
 「多様なメディア」の解釈として、インターネットの動画2種類では多様とはならないのである。

 

 そこで登場するのが、NHK高校講座である。そう、いまどきテレビである。
 多くの通信制高校で、このNHK高校講座を視聴しての視聴報告書を生徒に義務付けている。

 今時、放映時間を調べて、テレビやら・・・科目によってはラジオを聞いて課題に取り組まないといけないのである。前時代的すぎる。

 ちなみに、ダルいので、ほとんどの生徒がテレビもラジオも放映後に「NHK高校講座のウェブサイトで見ている」のが現実である。

 ネットとネットでアウトっぽいが、学校としてはTVを指定しており、TV見て書いたか、ネットにあがってるのを見て書いたか確認する手段は無い。

 なのでまあ、ネットとTVで2種類だね。という、実にお役所的行政によって多様なメディアは成り立っている。

 

 かようにして、面接指導時間を短くして、年に数泊のスクーリングで授業時間を満たしているのである。

 多様なメディアという言葉は、まさにお役所仕事の権化である。

 

 天の神様

 文科省が開明的になりますよう、父と子と聖霊の御名においてお祈り申し上げます。

 えいめん!

 

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