読書感想

2018/07/26

 引き続き、サー・ウィンストン・チャーチルの第二次世界大戦である。

 回顧録のはずなのだが、「事実は小説より奇なり」を地で行くドラマチック展開の連発である。
 かつての救国の英雄として、政権の外から、過剰な平和主義を見守り、あるいは見ながらにして、何もできずに居たチャーチルの歯がゆさや、警句に満ちた演説をしながらも、つかの間の、そして目先の平和(それも、真の平和ではなく戦争状態ではないという平和)を追うネヴィル・チェンバレン。

 平和主義者の彼が自らの誤謬を基盤として、イギリスを愛し、国民に尽くすために行動した結果が裏目裏目に出ていっている事を、彼の職責と、そして平和を思う気持ちに敬意を表しながらも批判していく。

 この絶妙なバランスが素晴らしい。

 選ぶ道、考え方、主義主張が違っても、同じイギリスの政治を背負って立つ仲間であり、国と国民と国王を思う気持ちは同じであるという敬意がきちんと現れた「民主主義的な批判」である。

 

 ポーランド分割に至り、ついにネヴィル・チェンバレンも宥和政策を貫くことを断念し、自らがドイツに騙されていたこと、自らの誤りを認め、戦時内閣にチャーチルを招き入れ、そしてチャーチルもまた気持ちよくそれを引き受ける辺りは本当に感動を禁じ得ない。

 ジャンプ漫画かよ!

 また、開戦に至ったあたりでは、平和を愛する人間の一人であるチャーチルが、平和のため、戦いにまい進する覚悟を決めた高揚感のようなものが文章から沸き立っている。

 1巻の半分くらいでついに開戦である。

 ちなみに、流石は海軍大臣といったところで、グラーフシュペーVSアジャックス・エクセター・アキレスの戦いの辺りなんかは、流石海軍大臣といったところで、まさに軍記ものさながらの迫真の戦いが描かれている。

 そんな中でも、彼がグラーフシュペーのラングスドルフ艦長の戦術を評価している一文もあり、ドイツを敵視しつつも、その中で戦う一人ひとりの軍人に対して、敵味方にかかわらぬ敬意が見て取れる。騎士道的精神とでもいうのだろうか。

 ここらへんの想いというのはは、第一次世界大戦について言及した、チャーチルの書物。「世界の危機」を出典とする有名な一節が象徴的ではないだろうか。

 戦争から、きらめきと魔術的な美がついに奪い盗られてしまった。 アレクサンダーやシーザーやナポレオンが、兵士たちと危険を分かち合いながら、 馬で戦場を駆け巡り、帝国の運命を決する。 そんなことはもうなくなった。

 この文章から、チャーチルが、戦争というものに対して、かつての旧時代のような、試合にも似た戦争への憧れや、そこで戦う軍人への敬意が見て取れると思う。

 そうした思いが、第二次世界大戦の回顧録の文章にも、にじみ出ている。

 キンドルで気軽に買えるので是非お勧めである。
 夏休みの宿題で読書感想文を書くのにもぜひ!さすが、ノーベル文学賞の名著である。

 

 天の神様

 この素晴らしい本に感謝いたします。
 まだまだ素敵な展開を楽しめる事を、父と子と聖霊の御名においてお祈り申し上げます。

 えいめん!

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